図解 日本帝国海軍全艦船 1868-1945 第2巻『巡洋艦(上下巻)』

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石橋孝夫編著

B4判上製横綴じ/総頁・796頁(上巻380頁、下巻416頁)函入り/重量5.7kg


9784890633807
C0031


発行日 :2018.12

定価 ¥46000+税

本書『巡洋艦』の図面作成に費やした期間はおよそ5年間である。ここに掲載した図面は全てこの本のために描き直したもので、過去に描いたものは使っていない。過去30年以上描き溜めた図面は数百枚を数えるが、パソコンで描く図面と比べて正確度に劣り、細部のディテールの再現性に欠ける。そこで公式図をスキャナーにかけて電子データに変換し、編集ソフトで図の平行と直角線を修正して、拡大縮小を定めてから線を1本1本洗い出して描き直す作業を行なった。舷外側面、平面、艦内側面、各甲板平面、諸要部切断等の一式を仕上げるのに、1か月近くかかる根気のいる作業である。
  これにより本書の図面は、装備品のディテール、特に搭載機、高角砲、機銃等についてはより精度の高い描写となった。
  これまで太平洋戦争参加巡洋艦については、いろいろな出版物で取り上げられるケースが多かったが、明治期の巡洋艦についてはほとんど無視されていた。本書は公式図が存在する浪速型、笠置型、浅間型、出雲型、阿蘇、利根、筑摩型等の大型図面を掲げて、そのディテールを十分に表現した。また日本海軍で最も長寿を保った日露戦争中の6隻の装甲巡洋艦についても多くの艦型図で詳述した。
  一艦の優劣を客観的に判断するには工業製品としての多くのデータ、数値によるべきで、これまでの日本艦艇評論に見られる、主観的な優劣論は見直す時期にきていると思う。その意味で、本書は過去に例のない艦艇データを収録できたと自負している。こうしたデータは時間とともに風化する危険性があり、旧海軍関係者がほぼいなくなったこの時期にまとめておくことは意義のあることと認識している。