おわりに──物語で築く、知と共生の社会へ(一部)
本書は、「情報の時代を生きる私たちに、どんな力が必要か?」という問いから生まれました。
フェイクニュース、SNSでの炎上、偏った情報の拡散……。いま私たちは、情報を「持つこと」ではなく、それを「どう見きわめ、どう使うか」が問われる時代に生きています。
そしてこの課題は、大人にも子どもにも、等しく降りかかっています。
情報はもはや、世代や立場を超えた“共通のテーマ”です。
この本では、その「向き合い方」を考えるために、あえて「物語(ナラティブ)」という形式を選びました。
物語には、単なる説明では届かない“理解の入口”があります。
登場人物とともに悩み、考え、選び取るプロセスを通じて、「自分ならどうする?」という視点が自然と育まれていく──
読者が主人公たちと一緒に歩みながら、“ナラティブ”としてインテリジェンスを体験すること。
それが、本書のいちばん大きな狙いです。
この本を手に取ってくださった方の中には、教育に携わる方、政策を担う方、メディアを発信する方、子どもを育てる保護者の方、社会のどこかを支えている方も、きっといらっしゃるでしょう。
どうか、ナラティブを通して、インテリジェンスを語ってください。情報との向き合い方を、自らの言葉で、実際の場面で、関係性の中で、共有してください。それは?強く優しい社会?を築くための、一歩になるはずです。
目 次
はじめに
プロローグ
第1話 ミナという名の“相棒”──冒険は、一つの問いから始まる
第2話 富士の麓に眠る“影”の財宝──ネットにあふれる情報、その“本物”を選び取れ!
第3話 父の条件──出発許可と情報収集の目的
第4話 情報戦のはじまり──敵・我・環境を見きわめろ
第5話 作戦開始──情報サイクルと“最初の判断”
第6話 現地調査へ──見える“手がかり”にどう向き合うか?
第7話 古地図に眠る罠──その情報、いまも使える?
第8話 本物の手がかり──一次情報がつながるとき“意味”が生まれる
第9話 空白の地図と封じられた記憶──語られないことに、意味がある
第10話 森を読み解く“三つの目”──情報の「見え方」は、視点で変わる
第11話 キノコの真贋 ──信頼できる情報の見分け方
第12話 SNS拡散に要注意!──発信は“責任”をともなう行動
第13話 自分の情報をどう守る?──“無意識の情報”が狙われる時代
第14話 思い込みは、こうして“物語”になる──バイアスが、事実をすり替える
第15話 思い込みの罠から抜け出す──仮説は“問いに対する仮の答え”
第16話 見失っていた“問いの原点”──仮説は目的に奉仕しているか?
第17話 霧の中で踏み出す決断──情報の価値は“いま動ける判断”を支えること
第18話 問いを持ち続ける限り、冒険は終わらない──インテリジェンスとは“知ろうとする意志”の旅
まとめ(1)トムのインテリジェンス・ノート
まとめ(2)情報の冒険に出るあなたへ
まとめ(3)この物語を「使う」ためのガイド
おわりに
うえだあつもり(上田篤盛)
株式会社ラック(サイバー・グリッド・ジャパン、ナショナルセキュリティ研究所)客員研究員。1960年広島県生まれ。84年防衛大学校卒。87年陸上自衛隊調査学校の語学課程に入校以降、情報関係職種に従事。防衛省情報分析官および陸上自衛隊情報教官などとして勤務。2015年定年退官。著書に『戦略的インテリジェンス入門』『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争』『武器になる情報分析力』『武器になる状況判断力』『情報分析官が見た陸軍中野学校』『情報戦、心理戦、そして認知戦(共著)』(並木書房)、『未来予測入門』(講談社)、『超一流諜報員の頭の回転が早くなるダークスキル』(ワニブックス))、『カウンターインテリジェンス─防諜術(共著)』『情報戦の日本史』(育鵬社)他。 |