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目 次

はじめに 1

第一章 学び─自分の成長を実感する 10

 身体を使って学ぶ 10
  すべてが一体となって成長する 17
  心が通じれば戦意は鎮まる 27
  内省と感性を磨く 30
  武道における学び 40
  鹿島心流の「五か条の法定」49
  少数の者だけが利益を得る社会 56
  個人主義はなぜ生まれたのか 66
  自然に順応した生物が進化する 69
  集団的な学びの実践 74

第二章 中心と循環─産霊の思想 79

 宇宙の生成と日本の神話 79
  産霊(むすひ)の思想 86
  神々と一体になる 91
  和する心を取り戻す 97
  神道の死生観 102
  身体の中心「丹田」と精神の中心「肚」107
  公共のために使う武力 113
  時を超えて生きる 118

第三章 強さと道義、そして礼 124

 武人の強さとは何か 124
  和する強さ、助け合う強さ 128
  武の神が示した精神 136
  神々の共存する社会 141
  礼を重んずる日本武道 146
  歴史にみる日本の礼 150
  変質する日本人 158
  いま日本人ができること 163

第四章 伝統精神を継承する 171

 自由とは何か 171
  日本人が築いた自由 182
  和する「自由」を再び 195
  伝統精神の継承と新たな創造 201
  伝統を見失った現代人 206
  人類の伝統を統合することこそ真の平和 209

第五章 和する社会を取り戻す 215

 自由競争原理に蝕まれた社会 215
  共生文化と共助社会 221
  日本建国の理念と継承 236
  稲作と共生共助文化 246
  調和と均衡 249
  武道における利他的精神 256
  和する社会の再構築 265
  和の共助体を作ろう 270

おわりに 274
参考文献 285

□おわりに(一部)

 私が「武士道」から学んだことの一つは、己の死をリスクと考えず、受容することでかなりの自由が得られるということです。自らのことは自らの責任で主体性を持って対応する気概と知恵を身につけるということです。
  さらに主体的価値観と規範の確立を「武士道」から学びました。
  戦後の啓蒙教育の義務化により、子供たちは外なる価値観に服従するように教育されて育ちます。そして、携帯電話、スマートフォン、ロボット、AIなど次から次に新しい情報機器が開発された結果、現代人は情報過多にさらされ、主体的な価値基準を身につける余裕すらありません。
  結果的に、その情報がフェイク(うそ)だとしても、情報を管理する側の言い分が通り、特定の人が社会秩序を形成できる専制支配が可能となります。
  戦後の日本は、対外政策は米国の言いなりで、自国の憲法すら自分で決めることを放棄し、与えられたルールの中でうまく立ち回るプレーヤーとして自己規定しているように見ます。しかし、所詮プレーヤーは、ルール・メーカーの手のひらで踊るだけです。
  市場の自由競争を、単なる経済活動の一つとして、経済政策だけで勝負したところで勝ち目はありません。自由競争とは、軍事力も含むあらゆる力を自由に行使してルール(法秩序)を作った者が勝つ仕組みなのです。
  良い悪いではなく、「武」を持たない政治・経済に秩序の構築は不可能です。
  ここでいう「武」とは、自らの思考と行為に関して主体的に規範を確立する気概と実力のことです。「武士道」が、武士という社会階層がなくなっても存続し得るのは、その精神が従属的ではなく主体的だからです。
  社会的に与えられた地位に関係なく、自ら価値・規範を確立し、それを実践するところに「武士道」の最も大事な教えがあるのです。
  とはいっても、自らの人生を全うする価値・規範を主体的に確立し実行するには勇気が必要です。武士道精神とはそういうものです。

□略歴

荒谷 卓(あらや・たかし)
昭和34年(1959)秋田県生まれ。大館鳳鳴高校、東京理科大学を卒業後、昭和57年陸上自衛隊に入隊。福岡19普通科連隊、調査学校、第一空挺団、弘前39普連勤務後、ドイツ連邦軍指揮大学留学(平成7〜9年)。陸幕防衛部、防衛局防衛政策課戦略研究室勤務を経て、米国特殊作戦学校留学(平成14〜15年)。帰国後、編成準備隊長を経て特殊作戦群初代群長となる。平成20年退官(1等陸佐)。平成21年明治神宮武道場「至誠館」館長。平成30年国際共生創成協会「熊野飛鳥むすびの里」創設。著書に『戦う者たちへ』(並木書房)、『自分を強くする動じない力』(三笠書房)。鹿島の太刀、合気道六段。
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