立ち読み   戻る  

プロローグ「大暴落」のイヤな予兆


 日本の孤立化がますます深まっていく

「日米同盟の堅持」を掲げてイラク戦争にも後方支援で協力してきた日本だが、「戦後レジュームからの脱却」を謳った安倍政権の参議院議員選挙における惨敗のあと国内世論が大きく変わろうとしている。
 げんに小沢民主党は「テロ対策特措法(特別措置法)」の再延長に反対を鮮明にして米国に楯突き、これが意外と国民の反米感情を刺激する。
 これからの日本丸は危険の崖っぷちを突っ走るのか、再びどこかに安全に着地できるのか? 大荒れの政局が続くだろう。
米国のブッシュ政権はイラクの泥沼に足を取られて以来、レイムダック(衰退期)入りした。
 もはや「世界に自由を! デモクラシーを!」と声高に獅子吼してもワシントンの外交に昔日の迫力がなく、その隙をついたロシア、中国ばかりかイラン、北朝鮮などが勝手放題を始めた。
 アジア諸国はこの無秩序をどう見ているのか? また沈黙しがちな日本をどのように分析しているのか?
 そんなタイミングに米国連邦議会下院では中国の陰謀ともいえる鵺的なロビィ活動によって戦争中の従軍慰安婦を性奴隷などとした「日本非難決議」が通過した。外務省の失態、これに極まれり。
 外交力のない日本は「経済援助」とか「人道支援」とか、綺麗ごとを並べた八方美人の外交だけで乗り切ろうと焦っているうちに、肝心要のアジアにおいてさえ中国、韓国の反日キャンペーンにたじたじといった様相である。
 ところがアジア全域を反日論調が覆うかのように見えるがその実態は相当、異なっている。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)各国は日本への対応を変えたかに見えるが、背後に蠢くのは中国の強い意志である日本排斥だ。この目に見えない戦略からすべてが発動されている。この実態を指摘する日本のメディアはほとんどない。
 表向き、日本とは「戦略的互恵」を謳い、日本の親中派議員と外務省のチャイナスクールおよび御用学者を大量に動員して「東アジア共同体」が日中共通の利益と言いながら、影で北京がやっているのは徹底した日本排斥である。
 アジアに散った華僑の中の親中派を使って巧妙な情報工作を展開しているのだが、最近、この怪しげな動きがオーストラリア、ニュージーランドにも拡大しつつあり、要注意である。
 中国はASEAN一〇カ国からも首脳を呼び集め「実弾」をばらまいた。日本をも含めて、どこの国の政治家も実弾には弱い。まして日米のように高い倫理観を政治に求めたりする土壌はアジア各国にはない。
 アジア各国はむろん腹の中では中国を恐れ、そのアジアのおける軍事的覇権の確立を嫌がっている。だがバランスをとろうにもアテにできるはずの日本は中国にぺこぺこし続け、米軍は去りゆく情勢。南アジアではインドが台頭しているものの中央アジアにまで中国のパワーが浸透しはじめ、東南アジア諸国も「それならば……」と北京になびく姿勢になっているわけだ。
 もう一つの問題。実はこれがもっとも本質の問題だが、アジア各国のマスコミはほぼ華僑の資本と影響下にあるという厳然たる事実だ。
 華僑は北京の指令を受けずとも商売敵として日本企業排斥だから、巧妙に「反日」を連日繰り返す。
 一九七二年からタイとインドネシアを襲った反日暴動も、追跡調査の結果、地元の華僑が軍資金を出して裏で煽っていた経過が判明している。
 アジアには中立的メディアも少なからずあるが、これらの記者は米国留学帰りが多く、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを読んでから記事を書く。だからどうしても反日基調になる。日本はこの点でなんらアジアのマスコミ対策を講じていないのだ。
 こうして参議院選挙における安倍惨敗によりアジアの反日基調には拍車がかかった。
 中国の社会科学院の日本研究所の金煕得副所長は、自民党惨敗原因を次の三つに分析した。
「社会保険庁の失態、日本社会の根幹にある保険医療制度が混乱したことへの民衆の不満が自民党敗北の第一だが、第二は『政治の腐敗』である」
 第三は「侵略戦争を美化する強硬ナショナリズム政治が敗因である」と的はずれの分析をして溜飲を下げて見せるわけだが、小泉前政権への度し難い罵倒がおさまって安倍訪中、温家宝訪日と日中関係は「戦略的互恵」を謳う新しい段階になった、と持ち上げてきた中国としては今回の執権党の墜落ぶりには「当惑」している気配が濃厚である。
 中国科学院は、やや主観的、断定的に「靖国、教科書」などで、勢力を増したかに見えた「日本のナショナリズム政治が歴史的な衰退期に入ったのであり、吉田茂、田中角栄、中曽根康弘以来の大物政治家が出現するのは困難であろう」と言う。
 日本では米国下院における「中国の代理人」ホンダ議員の暗躍によっての決議通過直後から、「嫌米」「反米」感情が急速に広がった。
 それにしても反論の下手な日本。沈黙が美徳と誤解している日本。この隙をねらって中国の情報工作は世界的規模に拡大している。これに便乗しているのが韓国である。
 戦後世代が心理的に一番弱いのが「南京大虐殺」という政治宣伝、率直に言って嘘放送の蔓延だ。日本人の多くがいまも、このマインドコントロールにコロリと騙されているのだから、ますますタチが悪い。
 孫子の兵法が言うように、「あらゆる手段を動員して、戦争に勝利する」のが中国伝来の発想である。そこには戦争に一定の決まりを作って、その残虐性に一定の歯止めをかけるという文明的な発想はない。
 このままでは日本の危機的な孤立が深まるばかりであろう。
 日本経済の回復に暗い影を投げかける「ドル安」
 それにしても冷酷で冷徹な世界情勢の動きを日々追いながら、他方で日本国内の議論を眺めると「これはナンだ?」と訝るほどの奇妙な静けさがある。
 国際常識をもろともしない国内の大胆で無知な°c論は果てしなくピントがずれている。
 やれ「安倍政権ではこれから大丈夫か」「団塊世代がいっせいに定年となるので年金一五兆円をあてこんだ投資セールス」「中国の景気動向で日本の経済が左右される」「いたずらに反米をあおり米国を怒らせるな」云々。
 大局的な世界の流れとはほとんど無縁のローカルな論議に終始していて、これでは日本および日本人は次の世界の潮流を正しく掴めないのではないのか。
 正確な情報を早く知ることがこれほど必要とされる国はないのに!
 米国の衰退と交代するかのような中国とインドの台頭、その躍進の影に隠れたロシアの復活とイランの核武装プログラムの具体化、すなわちペルシア帝国≠フ跋扈が中東産油国に次の紛争を呼び込もうとしている。 
 次の世界経済大変調の兆しは、資源戦争ならびに通貨戦争の側面からかなりの正確さで推し量れるが、とくに昨今のドル安と異常なユーロ高と人民元の無気味な強さ。とうとう中国通貨(人民元)が香港ドルの価値を凌駕するという異変が起きた。
 EU(欧州連合)の統一通貨=ユーロ発足時の対米レートは一・二ドルだった。いまやそれは一・三五ドルとなった。具体的に日本円に直すと、一ユーロは一二〇円から一六四円もの最高値(〇七年八月二二日)。この波乱にみちた通貨戦国時代の到来に日本はなぜか鈍感である。
 英誌『エコノミスト』(〇七年二月一〇日号)は「日本円が不当に安い」と批判的な記事を掲載した。「ユーロに対して日本円の為替レートは四〇%も過小評価されている」と。
 このためEU製品は日本へ輸出できる環境にはない。また「米国の自動車は円安≠ニいう有利な武器を背景とする日本車との価格競争で、不公平極まりない状態になった」とも書いた。
 にもかかわらずG7の寄り合いで、円安問題は先送りされてしまった。
 ポールソン米財務長官は就任以来、四回も北京を訪問した(〇七年八月までに)にもかかわらず、日本にはようやく二〇〇七年三月になってからやってきた。
 彼の目は完全に中国を見ているからだ。財務長官の米国連邦議会での証言でも「人民元安は深刻ではない」という立場を鮮明にして、自動車労働組合などからの圧力に揺れる議会からの風圧、批判を抑えている。苛立った米議会は次々と中国制裁法案を上程した。
 米国の没落、そして日米同盟に激震が起きる
 戦後世界をリードした米国の圧倒的なパワーに陰りが見え、『歴史の終わり』という怪しげな本を書いたフランシス・フクヤマなどもそそくさと転向して「米国の文明的衰退」を言いつのる。
 米国は二〇〇六年一一月の中間選挙でブッシュ与党の共和党が稀なる惨敗を喫した。その後の迷走は目を覆いたくなるばかりだ。
 民主党との妥協の道を探り、〇七年一月のブッシュ演説では「イラクから撤退のため」に二万人余の米軍増派を決めた。〇八年のイラクからの米軍撤退が鮮明に視野に入ってきた。
 英国はブッシュ演説より先に〇七年初頭のイラク撤退を表明、実行に移した。英米同盟の亀裂は深く、ブレア首相は退陣し、ブラウン政権となった。NATO諸国はアフガニスタンとレバノンへの軍派遣で手が一杯となり、イラクの次の焦点はおっかないイラン(ペルシア帝国)の出方に移る。
 二〇〇七年は初頭からイランの核開発と核武装疑惑が国際政治を掻き荒らした。
 北朝鮮に関しては北京で開催された六者協議(六カ国協議)において、米国はあれほど峻拒してきた北朝鮮との直接対話を開始し、日本の主張をほとんど聞かずに金正日独裁政権と妥協した。
 日本は袖にされたのである。米国の裏切りにあったと言えるかも知れない。かといって北東アジアの安全は安定せず、日本の政治も経済も右往左往を繰り返す。参議院選挙では自民党が大惨敗、あげくに米下院では対日従軍慰安婦批判決議がなされた。
 その結果、日米同盟に激震が起きる可能性が残る。
 あまつさえ隣国・中国と米国との関係悪化が予想され、北東アジアは安定からほど遠く、むしろ不安定な状況に陥るだろう。
 超大国となった中国は「大国崛起」を標榜して、ASEAN諸国からアフリカ諸国へ軍事援助を梃子とした積極的な外交を拡大中だが、とりわけ産油国に対しての猛烈な資源外交は欧米の資源戦略とぶつかり、世界各地で利害が抵触しており、いずれ米中摩擦は本格化せざるを得まい。
 民間企業では、日米欧のみならずアジア各国で敵対的で大規模なM&Aが進行するだろう。
 日本企業は、ようやく危機の大きさに気が付いて会社定款改正などの対抗措置を講じ始めたが、動作が緩慢で、ファンド筋のスピーディな攻撃に間に合うかどうか?
 欧米ばかりかアジアでも香港の通信企業やシンガポール、中国国内の金融関係企業などのM&Aによる再編はダイナミックである。
 ある朝、目覚めると世界一の鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタル」が合併によって誕生し、あっという間に新日鐵の規模を凌駕した。二〇〇八年に向けて世界的規模で鉄鋼、製紙、パルプ、製薬、商社、銀行などの再編が加速するだろう。
 経営難にあえぐJAL(日本航空)がある日、五星紅旗資本に乗っ取られることだってあるかも知れない。
 慶應義塾大学が共立薬科大学を合併するように、これまで考えられなかった産業分野においても従来にない形式(たとえば三角合併)による合併や買収が日本でも起こり、それが株式市場を囃す動きに連動するだろう。
 これら新しい日本経済への脅威に関して第8章で詳しく検討したい。
 危険なプーチン一派の新帝国主義
 冷戦時代、日本の政治家も官僚もとくに外交≠ネるものを考えなくても良かった。なぜなら日米同盟を堅持していさえすれば、ほかにことさら我が国の安全保障戦略を考慮しなくても良かったからだ。
 しかし日本にもそれが通じない時代がとうとうやってきた。二〇〇七年初頭、麻生外務大臣(当時)は日本独自の「自由と繁栄の弧」という外交方針を打ち出した。自衛隊は国防省をめざし、その中間段階として「防衛省」に格上げされ、また日本の防衛白書には中国の軍事的脅威が明記された。
 冷戦以後の東西冷戦≠ヘ米ソではなく、中国を軸にした新様相、複雑怪奇な要素が増したからである。
 中国の軍拡と並んで、ロシアの新帝国主義的生き方、ようやく注意が向けられるようになった。
 日本のマスコミは最近、ロシアに関しての注意がすこし散漫である。
 ソ連が崩壊したあとのロシアは一時期、エリツィン大統領のもとで疑似民主主義を謳歌して西側に急激に近づいたことがあった。早とちりの英米の後押しで日本も「ロシア民主化」に支援を惜しまなかった。
 ところがプーチン大統領が出てきてから様相が激変した。プーチンは国民のナショナリズムに訴え、かつての世界帝国としてのロシアの栄光を獅子吼する手法を重視し始めた。
 それは親米政権のウクライナ、モルドバ、グルジアへのガス供給ストップなど数々の妨害行為にも象徴されるが、真因はバルト三国の離反ばかりか、NATO拡大の波に、かつてのソ連衛星圏にあったポーランド、ハンガリー、チェコが加わって、あろうことかロシアが囲まれる形となったことへの戦略的反撃でもある(〇七年二月一〇日のプーチン大統領の「ミュンヘン演説」)。
 スターリン時代、庶民の末端まで動員した第二次大戦を「大祖国戦争」と呼称して戦争を煽った。ソ連国民は「祖国」といわれるとスラブ民族主義といわれるよりいきりたつ特質がある。ナポレオン戦争のとき、ニコライ王朝は「祖国戦争」と標榜して国民を動員した。
 ソ連が分解してウクライナ、ベラルーシなどが独立した。それは「スラブ民族主義」が通用しないことを意味していた。
 イデオロギーの壁が消えれば、中央ヨーロッパに現れたのはまさしく「神聖ローマ帝国」再生の版図である。冷戦以後の地政学が共産主義以前の状態に戻るとすれば、ロシアに生まれるのは帝国主義的ナショナリズム≠フ国家である。
 スラブ民族主義はその次あたりの優先順位だったが、文豪ソルジェニーツィンが読み違えたように、あの時代に今日のプーチンの行為を予測できた者は誰もいなかった。
 元KGB将校団(チェキスト)が中枢に陣取る現ロシア政権は、あらかたの資源を私物化した。民間の大手企業さえあの手この手で買収し、準国有企業化して、その経営はプーチン一派が独占するという荒っぽい手法だ。
 富の掌握こそが帝国主義政権では権力に直結するからだ。この結果、反プーチンを掲げたエリツィン時代からの民主的財閥はあらかたが整理され、新興財閥のアブラモウィッツは英国のサッカーチームを買収して外国に逃亡。最後まで闘ったホドルフスキーには石油大手企業「ユコス」が脱税したと冤罪をなすりつけて、巧妙に倒産に追い込み、監獄へ収監。この間にプーチン派がタダ同然で「ユコス」を乗っ取った。これでガスプロム、ルークオイル、ロフノスチ(旧ユコス)の御三家資源企業は、みんなプーチン一派が掌握したことになる。
 日本はこの危険な資源ゲームの主役の分析を精密におこなっていないのではないか? 本書の第3章で具体的例証を試みる所以である。
 ともかく二〇〇七年後半から韓国などで大統領選挙がおこなわれ、指導者が交代する。香港でも行政長官の選挙がおこなわれ、親中派が圧勝した。また中国では〇七年秋に第一七回共産党大会が開催されて、次の新顔指導者が大量に登場する。
 二〇〇八年は台湾、ロシア、夏の北京オリンピックを挟んで一一月に米国も新しい指導者と交代する。
 こうして国際情勢は目の回る忙しさ。
 波瀾万丈の転換期に鈍感であり続ける日本は決定的な遅れをとることになるだろう。
 本書は、二〇〇七年五月刊行の『2008 世界大動乱の予兆』を増刷するにあたり、大幅に加筆・訂正し、『最新版 2008 世界大動乱』と改題したものである。




目 次

プロローグ 「大暴落」のイヤな予兆  1
  日本の孤立化がますます深まっていく  1
  日本経済の回復に暗い影を投げかける「ドル安」  5
  米国の没落、そして日米同盟に激震が起きる  7
  危険なプーチン一派の新帝国主義  10

第1章 米国の衰退という衝撃が日本を襲う  23
  双子の赤字にイラク戦争赤字が加わり「三つ子の赤字」  23
  日本株は過剰な下落を繰り返す  25
 「ドル安」に歯止めがかからない  29
  中国国家ファンドが日本企業を乗っ取る  31
  アフリカ産油国も米国離れが顕著となる  35
  反日リベラルのヒラリー大統領誕生という悪夢  37
  米国の奮戦のおかげでイランから高笑いが聞こえる  41
  クルド独立問題が大波乱をもたらす  44
  ブッシュの失策でペルシア帝国が復活する  46
  北京と平壌も米国の衰退は大歓迎  48

第2章 大荒れの中東、平和は夢のまた夢  51
 「新グレートゲーム」の震源地はトルクメニスタン  51
  イランの核兵器開発は止まらない  55
  中国・ロシアがイランの核開発を支援していた  58
 「ヒズボラ」というエイリアンが代理戦争を仕掛ける  60
  他者の善意を信じない冷酷な砂漠の文化  64
  カネと女にえげつなく汚い  66
  石油リッチのイランから石油が枯渇しつつある  69
  ドバイは「脱石油」政策で、世界最大のリゾート国家を目指す  71
  サディズムと嘘と偽善の国々  74

第3章 中国発世界大暴落は秒読み  78
  上海市書記解任で予測不能の激動、政変劇が始まる  78
  曾慶紅国家副主席の裏切りで「上海派」の結束は崩れた  80
  だから面白い!中国の奥の院で繰り返される政争劇  84
  異例の「第五世代」登用で胡錦濤は地歩を固めつつある  88
  香港利権も江沢民派から取り上げた  94
  軍の腐敗摘発も胡錦濤の軍権掌握のプロセス  97
  旧江沢民派の追い落としはさらに加速する  100
  三つの「経済圏」の対立が権力の行方を決める  102
  中国は「靖国神社問題」や「反日暴動」の失敗に気が付いた  105

第4章 台湾海峡、またもや大波乱  108
  台湾の迷走、大陸への進出は危機水域  108
  台湾マスコミの多くは国民党寄りで偏向が甚だしい  112
  国民党も民進党も内紛を抱えている  114
  自由な台湾を守れ  118
  あと五年で台湾の親日度≠ヘ急速に冷え込む  122

第5章 ロシア資源戦略の野望、帝国の復活  128
  ロシアの軍事力は無気味に復活した  128
  プーチン政権は資源利権を独占し、資源戦争が再燃する  132
  旧ソ連衛星国家との確執はさらに深刻化する  136
  二百年、圧政に苦しんだグルジアの独立はなるか?  140
  ギリシア、ブルガリア、トルコもロシアの資源戦略に巻き込まれた  144
  経済的にロシアに抑えこまれたウクライナは曖昧政策を続ける  145
  タジキスタンは中国に異常接近  149
  資源をもとめ日本も中央アジアへ  153
  次のロシア大統領は誰であれ、「プーチン院政」となる  157

第6章 CHAINDIAはもう古い  159
  二〇五〇年、インドが世界経済の頂点に立つ?  159
  ヒンズー至上主義という宗教的呪縛が近代化を妨げる  163
  ベトナムが中国に代わって新たな投資先になり始めた  166
  それでも欧米投資家は中国投資にのめりこむ  169
 「人民元はさらに上昇」と踏んで金融投機は加熱する  172
  米国は中国のドル建て資産がユーロにシフトされるのを恐れている  177
  米国の政治的潮流が変わり、中国は慌て始めた  180

第7章 北朝鮮の核、イランの核  185
  米朝秘密会議は「米国の裏切り」  185
  市場が恐れるのは北の暴発ではなく、朝鮮半島の統一リスク=@ 188
  金正日体制打倒のクーデターを中国が支援する?  190
  韓国大統領は誰がなっても危険  193
  イスラエルのイラン核施設空爆はあるか?  197
  アラブ穏健派はペルシア帝国の復活を恐れている  199
  イラクに手を焼く米国はパレスチナ問題の解決を急ぐ  201
  シリア、イランの反米行動はやまず、その間隙をロシアが衝く  203
  日本の核武装論者は楽天主義すぎる  206

第8章 日本企業が中国に乗っ取られる  210
  「@の時代」と「京の時代」が輻輳する  210
  買収を阻止した「ユノカル」の防衛策はいまも有効だ  214
  商法改正で日本の企業は業界再編を急ぐ  217
  アメリカで起きたM&Aは今後、日本で起こる  219
  時代を先取りするシティグループ  224
 「ホリエモン」のデビューと退場  227
  日本人の精神の荒廃こそが問題だ  230

第9章 環境汚染、公害爆発の危機  234
  猛毒食品をバラまいた中国  234
  中国政府も企業も、環境対策にまるで関心がなかった  237
  河川や大気汚染は急速に進み、近隣国にも被害を及ぼす  240
  ロシアの森林資源も破壊されている  243
  汚水が伝染病を呼び、奇病も蔓延する  247
  エイズ、梅毒も中国で大流行の兆し  249
  宇宙、大気圏の環境も破壊する  251
  世界はふたたび武器輸出競合時代≠ノ突入する  254

エピローグ 情報戦に日本は決定的に遅れている  258
  伝わらなかった真実  258
  大手マスコミの作為的報道が中国像をゆがめた  261
  世界のマスコミが報道するのに、日本だけが報じない  265

宮崎正弘(みやざき・まさひろ)
昭和21年金沢市に生まれる。早稲田大学英文科中退。『日本学生新聞』編集長、月刊『浪曼』企画室長をへて、昭和57年に『もう一つの資源戦争』(講談社)で論壇へ。以降、『日米先端特許戦争』『拉致』『テロリズムと世界宗教戦争』など問題作を矢継ぎ早に発表して注目を集める。中国ウォッチャーとしても知られ、『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店)、『出身地でわかる中国人』(PHP新書)、『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版)、『中国から日本企業は撤退せよ!』『世界新資源戦争』(阪急コミュニケーションズ)、『中国のいま、3年後、5年後、10年後』(並木書房)など、そのうち数冊が中国語訳されている。
ホームページはhttp://www.nippon-nn.net/miyazaki/