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目  次

パート1 アフガン戦争五番勝負アフガン

勝負1「先陣はグリーンベレー」
アフガン勝負2「大成功!カンダハル降下作戦」
三島軍曹流「空港制圧シミュレーション」
アフガン勝負3「ハイテク兵器で爆撃誘導」
アフガン勝負4「訓練のたまもの、乗馬で移動」
アフガン勝負5「マザリシャリフ捕虜収容所の暴動鎮圧」
人手不足の特殊部隊

パート2 イラク戦争十番勝負

イラク勝負1「西部戦線スカッド狩り」
イラク勝負2「素手で5人のイラク兵を葬った男」
イラク勝負3「戦車部隊を殲滅!ジャベリン乱れ撃ち」
イラク勝負4「謎の偵察チーム・アラビアンナイツ」
イラク勝負5「正規軍を指揮した特殊部隊」
イラク勝負6「第173空挺旅団、コンバットジャンプの真相」
イラク勝負7「ジェシカ・リンチ救出の真実」
イラク勝負8「イラク戦争を戦ったこんな野郎たち」
イラク勝負9「最新鋭のデジタル師団」
イラク勝負10「サダム・フセイン捕獲作戦」
イラク勝負「番外篇」

パート3 グリーンベレー地獄の入隊訓練

フェーズ1 体力錬成コース(25日間)
フェーズ2 リーダー養成コース 50日間
フェーズ3 専門教育コース(25〜55週間)
フェーズ4 ロビンセイジ(4週間)
難関の「ロビンセイジ」をクリア!
フェーズ5 外国語学校(120日間)
フェーズ6 SEREトレーニング(3週間)
グリーンベレー入隊!

パート4 ベトナム戦争八番勝負

ベトナム勝負1「ベテラン兵のひと言で命拾い」
ベトナム勝負2「ベトナムへの初派遣」
ベトナム勝負3「前進作戦基地へ展開」
ベトナム勝負4「ローカルパトロール」
ベトナム勝負5「遭遇戦」
ベトナム勝負6「ベトコンの襲撃!」
ベトナム勝負7「アンダーカバー作戦」
ベトナム勝負8「長距離偵察狙撃任務」

パート5 ヨンビョン核施設を破壊せよ!

三島軍曹立案:特殊作戦『ヨンビョン・レイダーズ』
作戦エリア1「2月企業所(原子力発電所1号)」
作戦エリア2「12月企業所」
作戦エリア3「8月企業所」

パート6 自衛隊特殊部隊はこーつくれ!

三島軍曹:日本特殊部隊編制私案

対談を終えて(小峯隆生)

 


 対談を終えて(小峯隆生)


 2001年9月。俺は降りしきる雨の中、東京・広尾にある米軍専用ホテル「ニュー山王」の近くに車を止めて、元グリーンベレーの三島瑞穂軍曹の帰りを待っていた――。
 2週間前にニューヨーク、ワシントンを襲った9・11同時多発テロに関する、三島軍曹のコメントをもらうためだ。
 この同時多発テロ直後の9月12日、偶然居合わせた「週刊プレイボーイ」編集部で、旧友の軍事ジャーナリスト世良光弘氏と再会した。そして編集長の発案で、ただちに十数人体制の軍事班が編成され、テロ事件の真相を連続して記事にまとめることになった。
 幸いなことに一連の記事は好評をもって読者に迎えられ、以後、アフガン戦争、北朝鮮ミサイル危機、イラク戦争、陸上自衛隊サマワ派遣と、軍事情勢の変化に合わせて特集が組まれ、雑誌の巻頭を飾った。この軍事シリーズは現在も継続中である。
 ――夜遅くなってようやく三島軍曹がホテルに戻ってきた。車のドアを開けて俺は飛び出す。
「元気か?」と三島軍曹。
「元気であります」
「そうか。それで、何が聞きたい?」
 この夜も、いつものようにぶっきらぼうな会話から軍曹への取材が始まった。
 俺が三島軍曹を初めて知ったのは、1983年、フリーの新人編集者として「週刊プレイボーイ」に勤め始めた頃、編集部で何気なく開いた82年のバックナンバーの記事の中でだった。
 それは、当時集英社ロサンゼルス支局員だったキャット岡野氏が書いた、退役間もない三島軍曹を初めて日本で紹介したものだった。
 最精鋭の特殊部隊「グリーンベレー」の中に生粋の日本人がいた!
 すぐにでも会いに行きたかったが、夢がかなったのは1987年5月。場所は、米国東部ボストン市内の軍曹行きつけのバーだった。
 開口一番、三島軍曹は、「何が聞きたい?」と、笑顔ひとつ見せずにたずねる。初対面の俺はちょっとビビった。以来、軍曹との付き合いは二〇年近くになり、親しくなったとはいえ、その時の鬼軍曹の印象は今なお変わらない。
 わが「週刊プレイボーイ」軍事班は、多くの軍事専門家をコメンテーターとして抱えているが、そのなかでも三島軍曹は、米軍の動向、とくに特殊部隊に関する情報に関しては、欠かせないコメンテーターである。毎回、三島軍曹からもたらされる情報は、膨大な量で、とても週刊誌の特集におさまりきれるものではなかった。いつも自分だけが知っているだけで「もったいない…」と思っていたところ、並木書房編集部から、それを対談形式にしてまとめてみないか、という提案があった。
 しかし、いざまとめるとなると、さらに多くの追加取材が必要だった。当初は、これまでの取材をもとにした構成を考えていたが、聞きたいテーマが増え、具体的にはベトナム戦争とグリーンベレー入隊訓練の章があらたに加わった。そして追加取材は計12時間に及んだ。
 聞き手小峯隆生は、知る人ぞ知るガンマニア。世界中の銃を撃ちまくり、さまざまな師匠から射撃訓練を受けている。それと同時に、特殊部隊マニアでもある。関係図書は読みあさり、映画、ビデオは欠かさない。
 そして、本物の特殊部隊の方々に会えば、徹底的に話を聞くか、あわよくば、射撃訓練を受ける。
 こうして、軍隊と実戦経験はゼロだけど、知識だけはたっぷり詰まった俺が、徹底的にグリーンベレー在隊21年の三島軍曹に迫ってみたのが、この本である。
 もはや俺にとっては望み薄だが、若い読者になり変わって、特殊部隊員になる道を探ったのが本書である。
 軍曹の言う「我々の一員」になるために、頑張ったであります。ハッ!

三島瑞穂(Mizuho Mishima Bobroskie)
元アメリカ陸軍軍曹で特殊部隊グリンベレー在隊21年のキャリアをもつ。1959年、米陸軍に志願入隊。60〜72年、ベトナム在第5特殊部隊グループ、沖縄第1特殊部隊グループおよびMAC/SOGに在隊し、長距離偵察、対ゲリラ戦など、ベトナム戦争の全期間に従事。特殊部隊情報・作戦主任、潜水チーム隊長をへて、80年退役。現在、危機管理コンサルタントとして活躍する一方、各軍事雑誌に記事を執筆。著訳書に『グリンベレーD446』『ヴェトナム戦争米軍軍装ガイド』『第2次大戦米軍軍装ガイド』(いずれも並木書房)、『有事に備える』(かや書房)などがある。千年塾コンサルタント。ロサンゼルス在住。
小峯隆生(こみね・たかお)
1959年、神戸市生まれ。70年代後半からたびたび海外に渡り、銃修行を始める。撃った銃の種類は100を超える。さらに米国内の複数の警察でSWAT訓練を受け、米国射撃チャンピオンに弟子入りして、近接戦闘射撃訓練を学ぶ。実戦以外の銃撃はほとんど経験。2001年9月から週刊プレイボーイの軍事班記者として活躍。アフガン、イラク戦争に関する特集取材をこなす。軍事テクノロジー、戦争、軍事史に精通。とくに各国特殊部隊の徹底的な研究をしている。著書『人生は一発逆転』(光人社)ほか多数。日本映画監督協会会員。