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●目 次

第1部 護衛艦

護衛艦(DD)
護衛艦(DE)
護衛艦(PF)

第2部 潜水艦

潜水艦(SS)

第3部 哨戒艦艇

駆漕艇(PC)
魚雷艇(PT)
ミサイル艇(PG)
哨戒艇(PB)

第4部 機雷艦艇

掃海艇(MSC)
掃海艇(MSO)
掃海艇(MSB)
掃海船(MS/MSI/MSA/GP)
掃海母艦(MST)
掃海母艦(MST
機雷敷設艦(MMC)
敷設艇(AMC)

第5部/輸送艦艇

輸送船(LST)
輸送船・大型(LSM)
輸送船(LSU)
輸送船(LCU)
輸送船・中型(LCU)
輸送船・小型(LCM)

第6部 補助艦艇

敷設艦(ARC)
潜水艦救難艦(ASR)
潜水艦救難母艦(AS)
試験艦(ASE)
給油艦(AO)
補給艦(AOE)
練習艦(TV)
砕氷艦(AGB)
訓練支援艦(ATS)
海洋観測艦(AGS)
海洋観測艇(AGS)
音響測定艦(AOS)
特務艦(ASU)
特務潜水艦(ATSS)
特務艇(ASU)
特務艇(迎賓艇/ASY)
特務艇(ASM)
特務艇(雑型)
特務艇(高速型/ASH)

第7部 支援船

曳船(YT)
水船(YW)
油船(YO)
廃油船(YB)
運貨船(YL)
起重機船(YC)
交通船(YF)
設標船(YV)
清掃船(YS)
作業船(YD)
水中処分母船(YDT)
救命船(YS)
救難船(YR)
消防船(YE)
練習船(YTE)
敷設船(YAL)
掃海船(YAM)
特務船(YAS)
機動船(B)
カッター(C)
伝馬船(T)
ヨット(Y)
保管船(YAC)
未分類船

第8部 資料篇

艦載艇
艦載機
砲煩兵器
ミサイル兵器
魚雷兵器
対潜兵器
掃海艇搭載掃海兵器一覧
護衛艦電測・水測兵器一覧
艦種別艦型発達系譜
艦種類別一覧
艦種別年度末勢力及び新造計画推移
艦名索引(五十音順)
艦名索引(ABC)
参考文献・資料


●はじめに

 ここに一冊の古ぼけたバインダーノートがある。記入し始めたのがいつごろか、今はもう定かでないが多分20数年は経ているであろう。ノートには護衛艦からヨットのはてまで、海上自衛隊の全艦船がリストアップされ、その履歴と公表要目等のデータが書き込まれている。こうした海上自衛隊の艦船のデータブックを作ってみたいと考え始めたのは、「丸スペシャル」誌に自衛艦の連載を終えた昭和58年頃のことで、船型図とデータ表で創設以来の全艦船を記録した本ができないかという構想が生じた。以来約15年、いろいろ紆余曲折を経ながら,ここに何とか完成することができた喜びは他に代えがたいものがある。
 というのも、本書が巷の出版社でなく、個人の自家出版で発行したことに意義を感じるもので、すなわち、商業上の制約を受けることなく、まったく個人の好きなデザイン、レイアウトで好きな本を作ることが出来たことに極めて満足しているものである。
 実際に自家出版を決意したのは、90年代に入ってワープロやパソコン等の機能が大幅に向上したことに影響されたこと大で、こうしたDTP(デスクトップ・パブリッシング)機器とソフトの普及なしには、自家出版の実現は困難であったと思う。もちろん、この間の簡易印刷技術の進歩も忘れてはならず、白黒印刷なら一般のオフセット印刷にほぼ匹敵する、ダイレクト・プリント技術のおかげで、版下さえ自作すれば比較的安価にこうした本が自家出版できる時代になったのである。
 さて、こうした艦型図とデータ表を骨子とした構成で、一国の艦船史を著すという手法は、ドイツの有名な艦船研究家、故エリッヒ・グレーナー博士が1966年に著したDie deutschen・ Kriegsschiffe 1815−1945が有名である。ドイツ人特有の几帳面さで、1/1250のスケールで統一した艦型図とフォーマット化された要目、データ表を配した同書は、その後改訂版や英語版も重ねてドイツ艦船の基本資料として知られている。
 こうした著作で問われるのは、艦型図とデータの質である。特に艦型図は写真と異なり、作図者の表現力にかなり個人差が生じやすく、本の価値を左右しかねない。日本では戦前から艦型図をうたい文句にした本の出版は少なくなかったが、大半はオリジナル性に欠けた海外年鑑のコピイといったもので、戦後もこうした傾向は変らず、他人の艦型図をトレースしただけの盗作艦型図集が後を絶たないのが現実である。艦型図というのは自分でリサーチした結果を線図化することで、初めてオリジナリティが発揮されるもので、同一の写真からリサーチして作図する場合でも、作図者が2人いれば2通りの艦型図が出来るはずで、同様に例え公式図があったとしても縮小した艦型図を描く場合は同一の図になることなど有り得ないのである。
 その意味で本書では全て著者自身の作図したオリジナル艦型図を配して、かつスミアミをかけ、特に自衛艦においては艦名、艦番号を時代考証の下に描いたことで、最もリアリティに富んだ艦型図を掲載することができたことを自負する次第である。また、艦型図のスケールも同一ぺ一ジ以外ではあえて統一せず、迫力ある大型艦型図を掲載することに努めた。
 また、データについても公表要目だけでは不満足と考え、出来るだけ非公開データの収集に努めた。これらは多分に推定によるものも含まれるが、2次防までの艦艇については、かなり信憑性の高いデータが得られたものと考えている。特に支援船の部では多くのぺ一ジを配して、その全貌を網羅することに努めた。おそらく、こうした形の文献資料はおそらく日本で初めてであろう。
 もちろん、こうした軍事関連の図書には、軍事上の機密という制約があるのも事実である。現在の海上自衛隊艦船の公表要目は旧海軍に比べてた多少ましとはいえ、かなり通り一遍な内容であることは承知の通りである。こうした軍事上の機密と納税者の知る権利の境界をどこに置くかは、いろいろ議論があるにしても、米国等にくらべて、日本の官僚と納税者の意識がかなり後退したものであることは否定できない。ここに掲げた数字はその艦船を記録する上で最低限のものと考えている。この辺は最近の外国艦船年鑑の内容を見ても、自ずと明らかである。今後の艦船公表要目の充実を期待したい。また日本語の壁により外国人の理解を妨げることを考慮して、データ表は英語併記とした。
 いずれにしても、今後海上自衛隊の艦船の研究を志す人にとって、何らかの参考になれば著者として望外のよろこびである。
 本書の制作に当たっては各種の参考文献・資料以外に、多くの友人、知人の援助、助言をいただいた。諸般の事情より個々のお名前を挙げることは差し控えるが、ここに改めて感謝の意を捧げたい。
 また、内容については重々見直したつもりだが、人間のやることゆえ誤り、不備な点が必ずあるものと思われる。何か気付かれた方はぜひご一報いただきたい。また同時に空白を埋めるデータをご存じの方もご教示いただければ幸いでる。次回改訂版に反映していきたいと考えている。
 なお、次回図解シップステータは「日本海軍戦艦・巡洋戦艦」を予定している。出来たら2002年末には出したいと思っている。 石橋孝夫


●石橋孝夫(いしばし・たかお)
1939年東京大田区にて誕生。1941年父の転勤により樺太豊原に移住。1952年小樽に移住、中学、高校時代を同地ですごす。1962年東海大学工学部卒業、日本映画機械(株)入社。1982年同社退社、エスイーエ一社入社、雑誌シーパワーの編集に従事。1983年シーパワー社(エスイー工一社改名)取締役、同誌編集長。1985年同社退社、北辰プレシジョン(現横河プレシジョン)(株)入社。1960年以来、「世界の艦船」、「丸」「丸スペシャル」等の専門誌に艦艇、海軍、海戦記事および艦型図を寄稿、現在までの寄稿本数は数百本を数える。著作に『軍艦』および『戦艦』(X図鑑シリーズ、学研)1975−77年、監修に『航空母艦』および『戦艦』(万有ガイドシリーズ、小学館)1984−85、訳本に『現代の駆逐艦』『戦艦』および『現代の対潜作戦』(イラストレイテッド・シリーズ、ホビージャパン)1988−89年。そのほか共著多数。