■編集部より
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■新刊のご案内

7月末に2点の新刊が出来てきます。どちらも自信作です。本来なら夏前に出したかったのですが、暑い時期の刊行となりました。

1点は『シークレットサービス─大統領警護の舞台裏』(ロナルド・ケスラー著/吉本晋一郎訳)です。この本は昨年夏にアメリカで出版されるや、ニューヨークタイムズのベストセラーとなり、米国アマゾンのノンフィクション政治部門ではなんと第1位になりました。著者はベテランの政治記者で、これまでもCIAに関するものなど多数のベストセラーを出しています。本書は驚いたことに、シークレットサービスの全面協力のもと、100人ほどの現役および退役した警護官にインタビューして、大統領とその家族、さらには副大統領やホワイトハウス関係者の私生活を、言葉は悪いですが「暴露」したものです。取り上げられた大統領はケネディから、ブッシュ、そしてオバマまで。よくここまで警護官が喋ってしまったものだと、感心するほどです。各紙の書評でも、証言の多くは実名で答えている点で信憑性は高いと評されています。これまで伺い知ることができなかった大統領の私生活や個人的資質がよくわかり、ホワイトハウスの見方そのものも変わる稀有のノンフィクションです。

もう1点は、桜林美佐さんの3作目となる『誰も語らなかった防衛産業』です。まず驚いたのは戦車1両を製造するのに民間企業が約1300社関わっているという事実です。新型の10式戦車が完成しましたが、防衛費削減のあおりを受けて、製造数は減数され、撤退する企業も増えているということです。福祉や経済対策も重要ですが、政治家が最重要課題として取り組むべきは「安全保障」です。国防がしっかりしていれば、内政的なことはあとからどうにでも取り返しがききます。日本の防衛産業はまさに「国防の要」。岐路に立つ防衛産業の現場を取材し、その現状と問題点を明らかにした意欲的な作品です。

6月には、坂本明さんの図解シリーズの第2弾『世界の警察図鑑』が出版されました。菊判80ページと薄手の本ですが、その中身の濃さは特筆ものです。こんなに詰め込まなくてもいいのでは、と思うほどですが、坂本さん曰く「読者のために最新の情報をできるだけ伝えたい」という思いから、どうして盛りだくさんになってしまうとのこと。その著者の熱い思いが伝わり、よく売れています。第3弾は『米軍の現用装備』を予定しています。

4月には2点の新刊を出しました。
1点は、『次世代戦闘機 F-35ライトニングU』です。
ご承知のように航空自衛隊の次期主力戦闘機の最有力候補として名前が上がっている第5世代のステルス戦闘機です。このF-35戦闘機の特徴は、経費を削減するために、通常離陸型、空母搭載型、垂直離着陸型の3バージョンを1つの機体で造ってしまおうという前代未聞の試みにあります。しかも米国だけでは開発費用がまかなえないため、英国など計9カ国で共同開発しています。そのため開発は苦労の連続で、その経緯は本書に詳しく書かれています。ただ共同開発のおかげで、すでに3000機の発注があるということで、まさにビッグプロジェクト。果たして日本が購入したいと思っても、すんなりいくかは予断を許しません。そのあたりのことも、訳者の石川さんが最新情報を補足してくれています。

2点目は、米国国家情報会議編の『グローバル・トレンド2025』(北村愛子・北村淳共訳)です。
国家情報会議(NIC)は、米国に16ある情報機関で構成されている組織で、4年に1回のペースで長期予測を発表しています。訳者によれば、本レポートは、米大統領の政策決定に深く影響を与えているといいます。たとえば、最近、オバマ大統領は「核テロサミット」を主宰しましたが、本書のなかで最も警鐘が鳴らされているのが、「核兵器によるテロ」で、まさに米国が優先課題として取り組んでいる問題であることが、裏付けられます。日本についても様々な予測がなされていますが、「自民党支配は終焉し、多くの競合する政党に分裂する」という予測はますます現実味を帯びています。オバマ大統領がこうした長期予測のうえで、政策を立案していると分かるだけでも、本書の意義は大きいと思います。

2月には、前述の荒谷さんの『戦う者たちへ─日本の大義と武士道─』を出版しました。
荒谷さんは陸上自衛隊唯一の特殊部隊である「特殊作戦群(特戦群)」の初代群長。現在は退官して明治神宮武道場「至誠館」の館長を務めています。軍事に関心がある方なら、「特戦群」の元群長が本当に本を出したのかと驚かれるかと思います。
退官したとは言え、情報管理が徹底している「特戦群」の機微に触れることは書けないのは当然ですが、それでも一読すると、「特戦群」とはどういうものか、おぼろげながら分かります。
ドイツの大学や米国特殊部隊に留学した経験をもつ荒谷さんは、特戦群の立ち上げに際して、部隊の行動理念を「武士道」に求めました。なぜ「武士道」を選んだかは本書に詳しく書かれていますが、「特戦群戦士の武士道」を隊員に示し、自ら実践することで、精強な部隊づくりを目指しました。そして、その成果はイラク復興支援活動において実証されたと言います。
武士道とは何か? 西欧近代思想と比較しながら、武士道の意義および武道の神髄を論理的に明らかにした本書は、精神的拠り所を失った今の日本にとって大きな示唆を与えてくれるものと確信いたします。

1月に出版したのが内山進さんの『戦い、終らず』です。内山さんは現役のアメリカ空軍少佐で、現在は横田基地勤務。職種はSF(セキュリティ・フォーシズ:憲兵隊)で、その副司令です。交換留学生として米国に渡った内山さんは、ひょんなことから米陸軍に入隊。その後、民間会社をへて、米空軍に再入隊します。そして07年からは対テロ将校としてイラク戦争に派兵され、基地強化の責任者として勤務しますが、そこで敵ロケット弾の攻撃を受けて部下を死傷させるという辛い経験をします。将校としての責任を痛感するとともに、「なぜ日本人の自分がイラクの戦場にいるんだろう?」という疑問がわき起こったそうです。そして、その答えを知りたくてペンをとりました。軍人になりたい訳ではなかった普通の日本の若者が米軍に入隊し、厳しい新兵訓練や士官学校をへて一人前の軍人になって行く様子が正直につづられた異色のノンフィクションです。

年末には兵頭二十八さんの『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』が出ました。現在、激しい戦闘が繰り広げられているアフガン、そしてパキスタンにおいて「プレデター」「グローバルホーク」といった無人機が偵察任務だけでなく、攻撃も含めて幅広く活用されています。兵頭さんによれば「ロボット軍の時代」はすぐそこまで来ていて、将来、米軍が主導する軍用ロボットのソフトウエアが民間に流れたとき、日本企業は多額のソフト使用料を払う羽目になるだろうと警告しています。

 


■これから出る本 ※一部

『日本の近代十大陸戦と世界(仮題)』(別宮暖朗)
『国民国家論の視点から問い直す「外国人参政権問題」』(岩田温・早瀬喜彦共著)
『米軍の現用装備(仮題)』(坂本明)
『意外に強かった日本陸軍(仮題)』(荒木肇編著)
『日本国防史上下巻(仮題)』(兵頭二十八著/小松直之画)
『歴史時代小説シリーズ3点「十字架の城」「小楠公」「六道の鬼にござれば」(いずれも仮題)同時発売予定』


■『ざっくばらん』

小社には知る人ぞ知るという、定期刊行物があります。その名は月刊『ざっくばらん』といいます。総ページはわずか10ページのミニコミ紙ですが、30年以上の歴史があります。主幹は私の父親。戦後一貫して雑誌畑にあった人です。ほかに執筆者は仮名の人も多いのですが、いずれも一流のジャーナリストの手によるものばかりです。
ご希望の方がいましたら、一部サンプルとして、無料で送りますのでお申し込みください。もし、購読を希望されましたら、同封の振替え用紙にて、年間購読料4000円をお支払いください。



■おわりに  

今年の夏は猛暑で、さすがに35度の日が続くとゲンナリします。出社して冷房のスイッチを入れるとホッとします。このところ集中して編集した『シークレットサービス』がいよいよ店頭に並びます。米国では15万部のベストセラーとなり、日本語版もそれにあやかりたいと思っています。
炎暑のみぎりご自愛ください。

編集部 なすだ