■編集部より
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■新刊のご案内

新刊を作る作業に追われていて、「編集部より」を更新できませんでしたが、ようやく年内(配本は年明け)の新刊が手を離れ、一段落しました。
早速、秋以降の新刊のご案内をいたします。

来年1月出版予定の新刊は、上田信さんの『世界の兵器・大図解』です。本書はいまも月刊『コンバット』で連載中の「ミリタリーコレクション」をまとめたものです。まず12月17〜18日の「ヴィクトリーショー」および年明け1月7〜8日に開催の「ブラックホール」で、上田信さんの新刊発売記念のサイン会を行なったのちに、発売の予定です。小社のネットでも先行発売します。

12月に出しましたのは『坂の上の雲5つの疑問』です。NHKで12月第1週から始まった「第3部」の放送に間に合わせることができました。企画自体は年初から始まったのですが、盛りだくさんの内容で、遅れに遅れました。編者は「ゲームジャーナル編集部」。ボードシミュレーションゲームの専門誌の編集部だけに、緻密な分析には定評があります。

11月には、元陸上自衛官2佐の家村さんの『闘戦経─武士道精神の原点を読み解く』を出版しました。「闘戦経」とは900年前に編まれた日本の最古の兵法書です。「孫子」が戦争の書なら、「闘戦経」は戦争抑止の書。日本にこんなに素晴らしい兵法書があったとは感動です。900年の時をおいて再び世に出すことができたのは出版社冥利につきます。

ほかに『米陸軍サバイバル全書・新版』(米国陸軍省編/鄭仁和訳)を出版しました。本書は想定しうる限りの事故や災害から身を守る術を教えてくれるサバイバル術の定番です。訳者の鄭さんには、「震災とサバイバル技術」について、新たに原稿を書いていただきました。

しばらく品切れでした桜林美佐さんの『奇跡の船「宗谷」』も新装版として刊行しました。「宗谷」が係留されている台場の船の科学館は夏に休館となり、「宗谷」はどうなるか心配ですが、現在放映中のテレビドラマ『南極大陸』の効果もあって、しばらくはそのまま保存されるとのこと。本書も「宗谷」保存の一助となればと思っています。

10月には、兵頭二十八さんの『極東日本のサバイバル武略』を出版しました。このなかで兵頭さんが強調しているのは、南シナ海での米中の覇権争いです。中国が喉から手が出るほど欲しいのは「石油資源」で、その狙いは南シナ海の対岸にあるボルネオ島の油田とのこと。クリントン国務長官のミャンマー訪問など、本書を読んでいると外交の流れが手に取るように分かります。本書はまさに兵頭さんならではの分析に溢れた好著です。

8月には『タイに渡った鑑識捜査官─妻がくれた第二の人生』を出しました。著者は警視庁鑑識36年のキャリアをもつ戸島国雄さんです。1995年、JICA(国際協力機構)の専門官として、日本の科学捜査法を教えるためタイに派遣され、以来十数年にわたって陣頭指揮で鑑識技術を教え、今では日本の警察に負けないくらいの現場検証ができるほどになりました。と言っても、タイ警察にはタイ警察のプライドがあり、簡単に日本の捜査法が受け入れられた訳ではありません。そこで、戸島さんは連日、現場に足を運び、現地の捜査官と一緒に汗を流しながら、実地指導して、彼らの信頼を勝ち取っていきます。その過程は、涙あり、笑いあり、失敗ありのまさにドラマの連続です。2004年のインド洋大津波では、震災翌日に部下10名を引き連れて被災地に向かい、3か月にわたって4000体の遺体の身元確認に貢献しました。本書の企画がスタートしたのは2003年。原稿も随時送られてきましたが、このたび戸島さんがタイから帰国したのを機に刊行の運びとなりました。タイで活躍する日本の鑑識技術を描いたノンフィクションです。

8月には、大型企画『零距離戦闘術[入門編]DVD付き』(稲川義貴)が出ました。初めて「零距離(ゼロレンジ)戦闘術」という言葉を聞いたときは、じつに印象的なタイトルだと感心しました。実際に技のいくつかを稲川さんに実演してもいらいましたが、まさに相手との距離を詰めての戦い方で、自衛隊の「徒手格闘」を超えるものではないかと思いました。出版という制約があるため、本書で紹介する技は防禦的なもので、初心者向きに作られていますが、ゼロレンジのコンセプトは十分に伝わる仕上がりになっています。強く印象に残ったのは、体の使い方で、とくに肩甲骨を自在に動かすことで、数センチの伸びが生まれて強力な打撃になるという点です。また、下がらずに前方に入り身することで、つぎの攻撃につなげるという考え方もリアルです。

7月には新刊が2点出ました。
1つ目は、平山隆一さんの『和の道具の使い方』です。扇子(せんす)、手ぬぐい、風呂敷、フンドシ…等々、日本古来の和物の使い方、蘊蓄(うんちく)を100点余りの平山さん自筆のイラストをまじえて紹介したものです。最近はエコやリサイクルが見直され、原発に依存しない節電対策も重要な課題です。経済優先に代わる新たな価値観を、日本は率先して世界に提案すべき時かもしれません。本書はそうした新たな流れを提案していると言ったら言い過ぎでしょうか。

2つ目は、毎年恒例の『アンケート調査年鑑2011』です。本書で通巻24号。今回はとくに東日本大震災後の意識変化や節電対策等々についても収録しました。

6月には3点の新刊を出しました。
1つは、東日本大震災におけるアメリカ軍の被災地支援活動を紹介した『写真で見るトモダチ作戦』(北村淳編著)です。400点余りのカラー写真で、震災直前の様子から、震災の一報とともに一気に日本を目指して展開し、被災地での支援活動に関わる米軍の様子が詳細に描かれています。大型輸送機で空中給油をしながら支援物資を運ぶ様子、空母機動部隊が被災地沖に展開してヘリで物資を輸送、海兵隊の揚陸艦で海から直接、兵員や物資を運ぶ様子…等々、米軍の展開能力は圧巻です。トモダチ作戦に参加した現役海兵隊員の話では、「自分も参加したかった」「もっと長くやりたかった」とのことで、たいへん頼もしく思いました。

もう1点は、渡部由輝さんの『数学者が見た二本松戦争』です。メルマガ『軍事情報』で配信されたものをベースにまとめたノンフィクションです。出版準備を進めている最中に、東日本大震災が発生し、延期も考えましたが、逆に東北には二本松藩のように「武士道精神」を体現した武士がいた事実を世に知らせることも意義があるのではと思い直し、出版の運びとなりました。その後、二本松で郷土史を研究している人のなかには、二本松藩は立ち回りがヘタで損をしたという意見があることも知りました。確かに近隣の藩のようにさっさと降伏してしまう道もあったかも知れません。人的被害も軽微だったでしょう。しかし、そういう二本松藩だからこそ見えてくるものがあります。「武士道」とは何か。二本松藩の生き方にその真髄が見えます。

もう1点は、この4月に休刊となった月刊「ざっくばらん」の巻頭論文から20編を選んでまとめた『天下国家を論ず』(奈須田敬)。この「ざっくばらん」は政軍関係を論じて38年(通巻446号)の知る人ぞ知るミニコミ誌です。

5月には2点新刊が出ました。
1つは、『今から始める地震対策(改訂版)』。本書は2006年に消火器メーカー大手のヤマトプロテック社との共同で制作したもので、長らく品切れだったものを急遽改訂したものです。今回の大震災で得た教訓を盛り込みながら、巻末には個人レベルでできる「26の放射能対策」を追補しました。

もう1点は、『特殊部隊ジェドバラ』です。印刷直前で震災に遭い、今日まで出版が延期となった本です。軍事に詳しい専門家でも、この「ジェドバラ」について知っている人はほとんどなく、戦後ずっと秘密にされていた特殊部隊です。「ジェドバラ」の誕生秘話や活動の様子は、訳者の村上さんが「訳者あとがき」で詳述してくれています。本書を一読して分かることは、フランスのレジスタンス運動を組織化し、武器を補給した「ジェドバラ」部隊の活躍がなければ、パリ解放はさらにずっと遅れたであろうということです。まさに米陸軍「グリーンベレー」の元祖といえる特殊部隊です。貴重なノンフィクションです。

3月には武道通信の杉山さんの新刊『武士の妻の作法』が出ました。本書はベストセラーとなった『武士の作法』の姉妹編。旗本の妻「浅田篤(あつ)」を主人公にストーリーが展開しながら、それを杉山さんが俯瞰的に解説。二重構造の体裁ですが、これがなかなか上手くできていて、武士道が男だけのものではなく、当然女にもあったことを、確かに納得できます。放映中のNHK大河ドラマの「江」は早々と観る気をなくしましたが、本書こそ武家の女の生き方と思います。ご一読を。

2月には、兵頭二十八さんの『大日本国防史─歴代天皇戦記─』が出ました。判型がひと回り大きいA5判で290頁。大冊です。ヤマト政権の誕生から朝鮮戦争前までを概観したまさに「二千六百年史」。なかに小松直之さんのマンガが3編収録されています(原作は兵頭さん)。




 


■これから出る本 ※一部



『オールカラー軍用銃事典・増補版(仮題)』(床井雅美)
『M4カービンとM16小銃(仮題)』(床井雅美)
『21世紀のスナイパー術』(友清仁訳)
『スナイパー/イラク・アフガン作戦』(村上和久訳)
『米軍の現用装備(仮題)』(坂本明)
『東日本大震災と自衛隊(仮題)』(荒木肇)
『小銃と日本人(仮題)』(荒木肇)



■おわりに  

いつもながら時間が経つのは早く、12月に入ると特にそう思います。今年は未曾有の大震災があり、震源地から遠く離れた東京でさえ、日常生活を続けることが困難な時期がありました。出版業界のみならず日本経済は不振に喘いでいます。そんな中、なんとか出版を続けられていることは有り難いことだと思っています。これからも「こんな本を待っていた」と言われるような本作りを目指します。来年もよろしくお願いいたします。

編集部 なすだ