元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.39

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◆【軍隊式英会話術】 vol.39
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着水! (海軍サバイバル訓練で鍛えよう-3)         Takashi Kato
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39時間目 着水!(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-3)


海面がぐんぐん近づいてきます。
風上にパラシュートを向けて(turn the parachute towards the wind)、降下速度を少し
でも殺してください(kill the descend speed)。

海上で緊急脱出(eject)した場合は、もちろん陸軍空挺学校で習ったPLF(parachute
landing fall)つまり着地受け身は使えません。
水のほうが地面より簡単そうですが、パラシュートを着けたまま着水すると、からまって溺れ
る(you can get drowned by being entangled in the parachute)可能性があり危険です。
これを避けるには、着水直前にパラシュートを切り離し垂直降下(cut off the parachute
and fall straight down to the water)する方法もあります。

水面を打つ衝撃(an impact to hit the water)から身体を守るために、両足首を組んで脚
が開かないようにします。また、両腕もヘルメットの前で組んで顔面を保護します(protect
your face)。

海軍航空生理学実験所(the NAVAL Aviation Physiology Laboratory)での着水サバイバ
ル訓練(Water Survival Training)はこの時点からプールで行なわれます。
まず、つなぎの飛行服(flight suit)、スピードジーンズ(speed jeans)と俗称される対
Gスーツ(the G suit)、ブーツ、救命具(Life Preserver Unit: LPU)、そしてヘルメッ
トを着けます。
これは射出座席(ejection seat)を備えた戦闘機(fighter)や攻撃機(attack plane)の
パイロットと同じ装備です。

泳ぎに自信があっても侮(あなど)らないでください(Don't be overconfident)。これだ
けの装備をつけると身体の自由が利かず浮力も殺されます。水着の場合とは大違いです。

 "Your LPU will automatically inflate upon hitting the water. But today we will
  train you to inflate it yourself just in case. First, tread water for 5 minutes.
  Next, drownproofing for 3 minutes. Then inflate the life preserver by blowing
  air into it "
 (救命具は着水すると自動的に膨らみます。でも今日は万が一に備え、自分で膨らます訓練
  です。まず立ち泳ぎを5分。つぎは溺れないためのサバイバル泳法を3分。そして救命具
  に息を吹き入れて膨らませます)

大尉が説明したように、救命具は緊急脱出時の衝撃で失神した場合(In case you pass out/
lose consciousness due to the impact of the ejection)でも溺れてしまわないように、
自動膨張装置(automatic inflation device)がついています。
両脇腹と首周りに「浮き」が出て、頭が水面上に出るようになっています。これが故障した場
合の訓練です。Tread は「足で踏む」とか「ダンスのステップを踏む」という意味ですが、こ
こでは水中で足を動かすこと、つまり立ち泳ぎです。
Drownproof は waterproof「防水」とか bulletproof「防弾」と同じ用法です。適当な日本
語訳はありませんが「溺れないための泳法」か「サバイバル泳法」でいいでしょう。

 "Are you ready?"
 (準備はいい?)

全員神妙に頷きます。

 "O.K. gang, jump in!"
 (じゃあ、みんな飛び込んで!)

大尉の指示に、学生たちはプールに飛び込み小さな円を描きながら泳ぎ始めます。
ブーツや飛行服が水を吸って重くなっているので、普通のようには泳げません。かなり体力を
消耗します。疲れてくると口元まで水が来ます。

 "I can't breathe!" (息ができない!)

パニックを起こしましたね(You panicked)。渾身の力を振り絞って水を蹴り、胸まで浮き
上がって深呼吸しました。
しかしその反動で沈み込み、ヘルメットが完全に水没してしまいました。
いったんパニックに陥ると、見渡す限りの大海原に一人浮かんでいる自分を想像しがちです。
しがみつく物が何もない怖さ(a feat that there is nothing to hang on to)が心身を包み
込みます。
このようなパニックを脱するには、体力より精神力がモノを言います。

 "Drownproofing! Don't panic! Watch me! Do this!"
 (サバイバル泳法よ!パニックを起こさないで!私を見て!こうするのよ!)

プール際の大尉が両腕を前に伸ばし、顔を水面につける仕草をしています。こうすると息を吸
うときだけ顔を上げればいいのです。

 "Relax! You can do it!"
 (身体をリラックスして!できるわ!)

大尉に言われたとおり、身体の力を抜いてください(Relax your body)。
こうすることによって、脈拍を下げ(lower the heartbeat)、酸素を節約する(conserve
oxygen)ことができます。吸い込んだ空気で浮力が増し、水面近くで浮かんでいられます。

息が苦しくなってきました。空気を吐き出し、身悶(みもだ)えたい欲求(a desire to
squirm)が湧き上がってきます。
でも、もがけばもがくほど苦しさが増し身体がもっと深く沈んでしまいます。ここが我慢のし
どころです(This is where you must endure)。

 "Mind over body!"

大尉が言ったのは、文字通り「身体の上に心がある」つまり「精神が肉体をコントロールする」
ということです。
心で身体の苦痛をねじ伏せるのです(suppress physical pain by mind)。あと5秒我慢で
きれば楽になります。
水中に黒いブーツを履いた足がゆらゆらしています。

 "Whose legs are they?"
 (誰の足だろう?)
 "5 more seconds....oh, they are mine...."
 (あと5秒。……ああ、ぼくのだ)
 "3 more seconds.....bubbles are shinning.....pretty"
 (あと3秒……水泡が光ってきれいだ……)
 "2 more seconds.....but where is the surface?"
 (あと2秒……でも水面はどこだ?)
 "1 more second. Raise the face slowly"
 (あと1秒。ゆっくり顔を上げろ)

口が水面に出ました。でも身体は沈みません。肺に空気が満ち、全身を支配していた痛みが消え
ました。鼓動が穏やかになっていきます。
数回深呼吸すると、あたりの様子も再び見えてきました。パニックを克服したのです。
(overcame the panic)

プール際で見つめる大尉の碧眼(へきがん)が、心なしか前より優しく見えます。

 "Now inflate the LPU"
 (救命具を膨らませて)

救命具についている赤いチューブを見つけてください。先端にあるバルブをゆるめて押し下げ
(unscrew the valve at the tip and lower it)、息を吹き込みます(blow air into it)。
その調子です。

呼吸が整っているのでそれほど難しくありません。浮力が増し、立ち泳ぎを止めても口が水面か
ら出たままになりました。もう大丈夫。いつまでも浮かんでいられます。
余裕ができたのか、大尉に何か言ってみたくなりました。

 "Can I activate a good one too?"
 (良い方のLPUも作動させてもいいですか?)
 "Be my guest!"

これは直訳すると「私のお客さんになって」ですが、許可を求められたときの返答としての意味
は「ご自由に」とか「ご遠慮なく」になります。
数珠(じゅず)のようなハンドルを引くと、内蔵カートリッジが作動し一気に浮きが膨らみました。
これで上体がほぼ水面上に出ました。身体の芯がじわじわ熱くなるような満足感です(You feel
this warm sensation from the core within,.....a satisfaction) 。

 "You are a GO!"
 (合格よ!)

大尉の笑顔が素敵です(Lieutenant has a nice smile)。
思い切って誘ってみませんか?(Why don't you ask her out?)

 "Thank you, lieutenant..........by the way can I buy you a drink later?"
 (ありがとう大尉。……ところであとで一杯おごらせてください)

大尉はちょっと意外そうな顔をしましたが、すぐに笑顔に戻り言いました。

 "Come to think of it, I am free tonight"
 (そういえば、今晩はなにも予定がないわ)

期待が持てる返事です!(a promising response)
軍服を脱いだ大尉は、どんな女性でしょうか?

興味が湧いてきましたね(You are getting curious about her, aren't you?)。


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