元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.26

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◆【軍隊式英会話術】 vol.26
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基地の中で許可を得る                           Takashi Kato
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26時間目 基地の中で許可を得る


基地内には民間では見かけない珍しいものがたくさんあります。
なかでも博物館を併設する陸軍のアバディーン試験場(Aberdeen Proving Ground)、ホワ
イトサンズミサイル発射場(White sands Missile Range)、空軍のデイビス モンサン基地
(Davis-Monthan Air Force Base)などの展示物には、軍事マニアならずとも、ちょっと触
ってみたり、乗ってみたくなったりするものです。

また、乗員休養で寄港する海軍艦船が一般公開されることもあります。空母(aircraft carrier)
にせよ、駆逐艦(destroyer)にせよ、潜水艦(submarine)にせよ、軍艦の中は奇妙な形の
器具がびっしり配置されていて、まるでおもちゃ箱(toy box)のようです。

童心に返って楽しむのはいいのですが、許可を取ってからでないと危なかったり、器具を壊し
てしまったりすることがあります。このような場合、いったいどのように言えばいいのでしょ
うか?

日本語の「―――ても良いですか?」に当たる表現はいくつかあります。
 "Can I ------- ?"
 "May I -----?"
 "Is it all right to -----?"
 "Is it all right if I ------?"
どれも中学校で習った文型ですね。
早速ロールプレイで使ってみることにしましょう。


状況1
アバディーン試験場の兵器博物館(Ordnance Museum)にやってきました。
広大な敷地には、大小さまざまな陸上兵器約200両が並べられています。
日本の博物館と違って、展示の周りにはロープも張られていなければ柵もありません。

第一次世界大戦の英国製マーク4型戦車やナチスドイツ軍のキングタイガー重戦車、日本陸軍
の97式中戦車、そして米陸軍のM1エイブラムス主力戦車やM2ブラッドリー歩兵戦闘車が
何気なく置かれているのです。

日本では絶対にお目にかかれない代物ばかり。
砲塔の上で記念撮影したくもなります。
ヘルメットをかぶった当番兵が見回りをしています。
思い切って聞いてみましょう。

主な語彙
 Tank(戦車)
 Main Battle Tank: MBT(主力戦車)
 Heavy Tank(重戦車)
 Medium Tank(中戦車)
 Light Tank(軽戦車)
 Armored personnel carrier: APC(装甲兵員輸送車)
 Infantry Fighting Vehicle: IFV(歩兵戦闘車)
 Howitzer(榴弾砲)
 Anti-tank gun(対戦車砲)
 Anti-aircraft gun(対空砲)
 Atomic cannon(原子砲)
 Surface to Surface Missile(地対地ミサイル)
 Tactical Nuclear Missile(戦術核ミサイル)
 Turret (砲塔)

主な文型
 What is this/that?(これは・あれは何ですか?)
 Is this/that.....?(これは・あれは―――ですか?)
 Can/May I....?(―――ても良いですか?)
 Is it all right to......?(―――ても良いですか?)
 Is it all right if I......?(―――ても良いですか?)
 Do you mind if I......?(―――ても良いですか?)

まずいつものように、相手の注意を引くところから始めます。
階級が分かれば階級を使って呼びかけてください。
分からなければ、これまでに習った丁寧な言い方を使いましょう。
ちなみに、米国では軍曹に Sir/Ma'am (殿)は付けません。

TV映画「コンバット」のサンダース軍曹は、士官と下士官の区別がつかない新兵が「軍曹
殿!」と嬉々として呼ぶと、いくぶん物憂さそうに「軍曹に殿はいらねえよ」
"You don't call a sergeant sir" と言っていましたが、これは今でも本当です。

 "Excuse me, sergeant? May I ask you a question?"
 (軍曹、ちょっとすいません。質問しても良いですか?)
 "Excuse me, please. Can I ask you a question?"
 (すいませんが、質問しても良いですか?)

規律の行き届いた部隊の兵士は、
男性には
 "Yes, sir"
女性には
 "Yes, ma'am"
と答えます。
つまり将校扱いです。悪い気はしませんね。

たとえば、ひときわ目立つ、トレーラーに乗った巨大な大砲に関心を引かれたとしましょう。
記念に写真を撮りたかったら、どのように聞きますか?
展示を指差し、近ければ this やや遠ければ that を使います。

 "Sergeant, what is that big gun over there?"
 (軍曹、あそこにある、あの大きな砲はなんですか?)

が一番簡単です。
Gun は拳銃、小銃、砲など銃器一般をさす言葉ですからここでも使えますが、もし知っていれば
cannon(大砲)、または howitzer(榴弾砲)と聞いても良いでしょう。

もう少しひねって、

 "Sergeant, could you tell me what that big cannon is ?"
 (軍曹、あの大きな大砲が何か教えてくれませんか?)

と質問できれば上出来です。
この場合、「教える」="teach" という逐語訳に陥らないことが肝心です。

 "Yes, sir. That is M65 280mm Field Gun, also known as 'The Atomic Cannon'"
 (承知しました。あれはM65 280ミリ野砲です。「原子砲」としても知られています)

「原子砲」とは物騒な名前ですね。
なぜそう呼ぶのでしょう?
難しく考えないで聞いてみてください。

 "Why calling it the atomic cannon?"
 (なぜ原子砲と呼ぶんですか?)

でも良いし、もっと簡単に、

 "Why atomic cannon?"
 (なぜ原子砲なんですか?)

でも通じます。

 "Because it could fire nuclear rounds"
 (核砲弾を撃てたからです)
 "Oh, I see. Is it all right to take some pictures?"
 (分かりました。写真を撮ってもいいですか?)
 "No problem, sir"
 (結構です)

うまく通じましたね。
では、ついでにもう一押ししてみましょう。

 "Sergeant, can I ask you to take my photo with the Atomic Cannon?"
 "Sergeant, do you mind if I ask you to take my photo with the Atomic Cannon?"
 (軍曹、原子砲といっしょに私の写真を撮ってくれませんか?)
 "Gladly, sir"
 (喜んで)

こう言ってもらえればしめたものです。
乗ってきたところで、もう少し練習してみましょう。
目の前に世界最強のM1エイブラムス戦車があるのですから、砲塔に立って記念撮影といきま
しょう。

同じ文型で対応できますが、さらに何かを頼むのですから前より丁寧に言いたいですね。
ここでは「お願い」「好意」などを意味する favor を使うと「もう一つお願いしても良いでし
ょうか?」の日本語の意味にぴったりします。

 "May/Can I ask you one more favor, Sergeant?"
 "Is it all right to ask you one more favor, Sergeant?"
 "Sergeant, do you mind if I ask you one more favor?"

そう。言葉の Fail safe に心がけていますね。Way to go! (その調子です!)

 "Can/May I climb on top of the tank?"
 (戦車の上に登っても良いですか?)
 "Is it all right to stand on top of the turret?"
 (砲塔の上に立っても良いですか?)
 "Do you mind if I get on top of the tank?"
 (戦車の上に行っても良いですか?)
 "Yes, you may, sir. But please be careful. It is slippery up here"
 (はい、けっこうです。でも滑りますから気をつけてください)
 "Thank you, Sergeant. I will"
 (軍曹、ありがとう。気をつけます)

英語で何かを成し遂げることが面白くなってきたようですね。

 That's the spirit!
 (その調子です!)


状況―2
寄港中の空母の一般公開日です。さっそく乗艦してみましょう。
タラップで白い礼装軍服の士官が迎えてくれます。
今日は「乗艦許可」を得る必要はないのですが、せっかくですから慣れてきた表現を使いましょう。

この場合の「乗る」は Boardを使います。

 "Sir, can I come on board?"
 (乗艦しても良いですか?)
 "Welcome on board, Sir"
 (ようこそ)

良いですね。スムーズになって来ました。
軍人の場合は、文字通り「許可」を意味する "permission" を使います。

 "Request permission to come on board"
 (乗艦許可をお願いします)
 "Permission granted, Sir"
 (乗艦を許可します)

艦橋(bridge)にやってきました。
一番先に目に入るのが「舵」(helm)です。
映画のなかで、艦長(captain)の「面舵いっぱい!」(Hard Starboard!)、「取舵いっぱい!」
(Hard Port!)という指令に従い、操舵手(helmsman)が動かすハンドルのことです。
ちょっと動かしてみたいですね。

さあ、今度はなんと聞きますか?
これまでと同じ文型に使える動詞をいくつか考えてください。
意味が通じれば良いのですから、完璧を目指す必要はありません。
簡単な動詞で充分です。

 "Excuse me please. Can/May I touch it?"
 (すいません。舵に触っても良いですか?)
 "Excuse me please. Can/May I move it?"
 (すいません。舵を動かしても良いですか?)
 "Excuse me please. Is it all right if I steer it?"
 (すいません。操舵しても良いですか?)

その通りです!
 (You got it!)
今回、軍の状況で覚えた文型は、一般的な状況でも使えます。
名詞と動詞を変えれば良いだけの話です。

 "Do you mind if I read your magazine?"
 (あなたの雑誌を読んでも良いですか?)
 "Can I come in?"
 (入っても良いですか?)
 "May I use the bathroom?"
 (お手洗いを使っても良いですか?)
 "Is it all right to call you tomorrow?"
 (明日、電話しても良いですか?)

分かって来ましたね!
 (You have come a long way!)

Way to go!!

次回は基地内で物を無くしてしまった状況に挑戦します。


次の授業にすすむ。

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