元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.19

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◆【軍隊式英会話術】 vol.19
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小学生に話すように言い換える                      Takashi Kato
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19時間目 小学生に話すように言い換える


米陸軍戦略大学(Army War College)に留学中の知人から、月に2度はメルマガが届きます。
日本語でメールを書くことが、欲求不満の解消になるのだそうです。

War College といえば、国家・戦略レベルの指揮官を養成する最高峰の学校(topnotch school)
で、研究教育機関としても全米屈指の名門です。したがって授業内容も高度で、討論形式のセ
ミナー(discussion)、研究発表(research presentation)も多いと聞いています。

言葉のハンディや母国からの多大な期待を背負う留学生にとって、ここを卒業するのは生易し
いことではないはずです。
 「毎日英語漬けなのに、言いたいことの半分も言えない」
陸上自衛隊のエリートは自嘲まじりに書いています。

この気持ち、よく分かります。
DLI(アメリカ国防省外国語学校)日本語学部の学生も、同じ苦労を連日のように味わって
いるからです。

悪戦苦闘している学生を思い浮かべてみると、高学歴(well-educated)で自己主張(assertive)
があり、生真面目(serious but inflexible)なタイプが多いことに気がつきます。なぜでし
ょうか?

端的に言えば、外国語で難しいことを言おうとするから行き詰ってしまうのです。いくつか例
を挙げてみます。

このタイプの学生に「感謝祭」(Thanksgiving) を説明する課題を与えたとします。
彼らはすぐさま米国史の授業を始めてしまうのです。

Pilgrim(清教徒)、immigration(移民)、colonies(植民地)、agriculture(農耕)、
Native Americans(アメリカ先住民)、 gratitude(感謝)、festivity(祭礼)などの言
葉がやつぎばやに去来しますが、対応する日本語の語彙は空なのです。

このギャップの大きさに、身動きが取れなくなってしまうわけです。
しかも、生来の生真面目さが災いして、物事をもっと単純に、柔軟性をもって考えることがで
きないのです。

おのずとフラストレーションは高まり、英語と日本語のクレバスの深みにはまって行く、とい
う図です。

もっと単純な名詞のレベルでも同じことが言えます。

例えば「運河」「熱気球」「イルカ」「ラクダ」などの写真を見せて説明させると、十中八九
黙り込んでしまいます。

言葉が出てこないもどかしさに、ゆでだこのようになって身悶えるエリート士官もいます。逐
語訳に固執するからです。しかし、まだ知らない言葉は、どれほど頭をひねっても出てくるは
ずがありません。

文章にせよ単語にせよ、対応する語彙がまだない場合は、すでに知っている、もっと単純な言
葉で言い換えるようにするのがコツです。
母国語(native tongue)のレベルを下げるコミュニケーション戦略です。

これは子供に話しかけるとき、実は誰でも無意識にやっています。それを意識的に行なうのです。
目安は「小学生に話しかけるように」(Like talking to grammar school kids)が良いで
しょう。

感謝祭の例ならこうなります。
 
 「ヨーロッパ人がアメリカに来たとき、新しい土地で食べ物をつくることができませんでした。
  前からアメリカに住んでいた人たちが、ヨーロッパ人に食べ物の作り方を教えました。最初に
  食べ物が採れたとき、ありがとう、というためにいっしょに食事をしました。これが感謝祭です」
 
 (When Europeans came to America, the could not make food in the new land. People
  who have been there showed them how to make food. When they got the first food,
  they ate together to say thank you and this is Thanksgiving)

これなら日本の小学生にも分かるし、DLIの学生の語彙でも可能です。

Canal の日本語を知らない場合なら「二つの海をつなぐ、船が通れる人工の川」と言えば日本人
は「運河」だと分かります。

英語を学ぶ日本人なら逆に(man-made rivers connecting two seas through which ships
can go)で良いのです。

「熱気球」は「熱い空気を使って飛ぶもの」(a thing which flies using hot air)。
「イルカ」は「海に住む、人懐っこくて頭が良い動物」(an animal living in the sea which
is friendly and cleaver)。
「ラクダ」は「砂漠の動物で、水を飲まなくても長いあいだ生きられるもの」(a desert animal
which can live for a long time without drinking water)で分かるでしょう。

このようにすれば、「水門」とか「哺乳類」とか「気球」とかいう難しい単語も複雑な文法も使
わずに説明可能です。

日米安全保障条約(U.S.-Japan Security Pact)、文民統制(Civilian Control)、専守防衛
(Exclusive Defense)といった高度な政治・軍事用語でも「小学生に話しかけるように」とい
うコツを忘れなければ何とかなるものです。

安保は「日本が攻撃されたら、アメリカは日本と一緒に日本を守る、という約束」
(a promise that the U.S. will defend Japan jointly if Japan is attacked)
文民統制は「軍の最高司令官が民間人であるというシステム」
(a system where the top military commander is a civilian)
専守防衛は「攻撃されてから初めて守る、という考え方」
(a policy that Japan will not defend until attacked first)と言えば良いのです。

英語で日常生活を送る場合も同じです。
小学生が分るような易しい言い回しを、いつも3〜4通りさがす癖をつけることです。

例えば、落し物をして遺失物係に行ったとしましょう。あいにくまだ届いていない。
「届いたら連絡してください」
と考えるのが普通ですが「逐語訳モード」にはまってしまうと身動きが取れなくなります。

「届く」(gets delivered)という表現を知らなかったり思い出せなかったりしたら、そこで
立ち往生してしまうからです。

こういう場合、反射的に代わりの言葉を探し出す習慣がものを言います。多少ぎこちない表現
でも、目的が達せられれば良しとしましょう。

例えば If found(見つかったら)、If it comes (来たら),If it arrives(着いたら)
、または少し視線を変えて If someone brings it(誰かが持ってきたら)と言い換えられれ
ば、会話が途切れ気まずい思いをすることもなくなります。

あとは Call me とか Phone me と言えば一件落着です。

しかし、コミュニケーション戦略は、頭で分かっているだけでは駄目です。
プレッシャーがかかると、理屈で理解しているコツやテクニックはその場で蒸発してしまいます。

語彙不足の壁にぶつかりそうな予感がした時点で、ぶつかる前にほかの言葉を探し始める。
これが条件反射(reflex)になるまで根気強く反復練習してください。

ダンスのステップや空手の形、ゴルフのスウィング、習字と同じく、繰り返すことで、声帯とい
う筋肉にコミュニケーション戦略を覚えさせましょう。

小学生でも分かるような平易な言葉や表現を、常にいくつか考えるようになれば、英会話は見違
えるようにスムーズになります。

通じるようになれば楽しくなるものです。
楽しければ、続けたくもなります。そうなったらしめたものです。

洗練された言葉や言い回しは、続けているうち、少しずつ身についてきます。


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DLIでの授業風景はこちらからどうぞ。
http://www.namiki-shobo.co.jp/gntaisiki/guntaiphoto.html

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